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魔力の胎動2019.09.26 Thursday
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最後まで読んで、続編じゃなくて、「ラプラスの魔女」の前の設定かと思ったんですが、雇われボディガードは「ラプラスの魔女」の時点で雇われるんですもんね。でも。。。と、まあまあ、そんな細かいことはともかく。
鍼灸師の工藤ナユタ、ご縁があって出会う円華。円華のことは、前作「ラプラスの魔女」で知っているので、今回はナユタ青年が主人公かな。彼もいろいろな運命を背負っている。そして、登場人物それぞれがなかなか重い物を持っている。
著者の東野圭吾は主人公・円華に次の言葉を言わせている。
「世界は一部の人間たちだけに動かされているわけじゃない。一見何の変哲もなく、価値もなさそうに見える人々こそが重要な構成要素で、一人一人は無自覚に生きているだけだとしても、集合体となった時、劇的な物理法則を実現していく。人は原子ー」
理数系を専攻した著者らしい言い方だなと思った。一人じゃ何もできないようだけど、力をあわせることで何かできる。何かしようと思っていなくても、何かの動きになっていることってたくさんあると思った。
また、「辛いからといって、過去から目をそらすべきじゃない。」と円華は言う。現実から目をそらしても、変わらないこと、どうしても逃げられないことはある。まっすぐに受け止めるしかない事って誰しもあることなのかもしれない。
最後に、「ラプラスの魔女」にも登場した面々が登場する。それもなんとなく、ほっとする構成になっている。
※新作「希望の糸」も読みました。色々な要素を含んでいます。現代社会で問題になっているようなことも、さりげなく物語に組み込んでいくのは、著者の才能なんでしょうね。
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