-
AX2021.01.17 Sunday
-
伊坂幸太郎の「AX」を読んだ。本屋で平積みになっていたので、買ったのだけれど、新しい話というわけではなく、2017年に単行本になっている。文庫本になったのが、去年の2月。買ってしばらく積読してしまった。
一言で言うと、恐妻家の殺し屋の話。息子が生まれた頃から、殺し屋は辞めたいと思いながら手を洗えないでいる。
時々友達もできたりして、なんだかとっても普通の主人公。でも、殺し屋。なんて矛盾。
伊坂氏の小説の中で、「重力ピエロ」の父親のキャラクターが好きなんだけど、似ている感じ。伊坂氏は父親を描くのが上手いと思ったりもした。
主人公が妻にとっても気を遣って生活しているのは、息子にしっかりバレており、「なんでそこまでするのさ?」と思ったりもする。でも彼は、「そんなに悪くない」「いいこともあった」と思っている。最後に彼らの出会いの場面が絵ががれているが、ちょっとのことでずっと一緒に居られる言葉だったり、きっかけだったり、あるよね〜と、ちょっとほっこりしてしまう。
ところどころ笑っちゃう場面もある。(特に蜂の巣駆除の話)
主人公は殺し屋なのに、恋愛小説であり、家族がテーマなのかなと思ったりもする不思議な小説である。
-
いつまでもショパン2020.11.22 Sunday
-
このところドハマりしている中山七里氏の岬洋介シリーズ。
今度は「いつまでもショパン」を読んだ。
ポーランド、ワルシャワで行われるショパンコンクール。岬洋介氏は、コンクールに出場する。
そこで起こる数々のテロ事件。しかもテロリストの通称は”ピアニスト”。
出場している他のピアニストやその家族、そこで出会う人々。ピアノの解説のような描写は、はっきり言って斜め読みしてしまったけど、BGMにショパンをかけながら読んでみた。
「どうせ自分はダメなんだ」自分の立場を卑下するものに対して三崎陽介氏は以下のように話します。
「昨日のあなたと今日のあなたは違います。今日、ソナタを弾いたあなたは確実に昨日のあなたではありません。演奏家、というより人は毎日変わり続けるんです。学問でも芸術でもスポーツでも、理想を追う限り人は変わっていきます。それはきっと、その先に自分のあるべき姿を見ているからなのでしょう。」
本人が望めば、人は変わることができる。岬洋介氏自身も悩みながら生きてきたであろう人だから、そんな彼に言われた相手の心にはすごく響いたのだと思う。
それにしても、岬洋介氏!好きだわぁ〜❤ (笑)
ちなみに、くらもちふさこ著の「いつもポケットにショパン」とは全く違います。こちらも面白いけどね。念のため。
-
さよならドビュッシー前奏曲2020.11.22 Sunday
-
前に読んだ「さよならドビュッシー」の前の話、「さよならドビュッシー前奏曲」。
サブタイトルに「要介護探偵の事件簿」(笑)
「さよならドビュッシー」では、すぐに亡くなってしまった、大富豪の玄太郎おじいちゃんの武勇伝集ともいえる小説。
この小説の中で、介護者みち子さん、イケメンピアニスト岬洋介氏との出会いが描かれている。
口が悪くて傍若無人でワンマン経営者のような玄太郎だが、実は部下にとても信頼されている。
一昔前ならドラマによく出てくるようなキャクターだけど、世知辛い現代ではパワハラ親父とも捕らえられかねない。
この短編集の中で、地域の運動会で一般参加の車椅子競走があるのだけれど、障害があろうがなんだろうが容赦ない戦い。賞金100万円。ありえない!! 必死に競争するジー様たち。
豪快で真っ直ぐな源太郎爺さんだから、「さよならドビュッシー」の中でも年頃の孫娘二人にも愛されていたんだなと思う。
きっと現代では通用しないとは思うけど、そんなジー様にお会いしたいと思ってしまいました。
-
さよならドビュッシー2020.10.18 Sunday
-
以前読んだ、「おやすみラフマニノフ」の前の作品「さよならドビュッシー」を読んでみた。
またまた色々なクラシック音楽が出てくるので、以前聞いていたCDを引っ張り出してみたり、Spotifyで検索して聞いてみたりしながら読んだ。
一言で言うと、遺産相続のゴタゴタのお話。
スマトラ島沖地震で両親を失った従姉妹ルシアと祖父とともに火事に巻き込まれ、かろうじて一命をとりとめた遥。亡くなった祖父の遺産を巡ってか、遥は何者かに命を狙われる。と同時に、ピアニストになるべくレッスンに励む。全身に火傷を受傷した為、その道のりは半端なく大変だった。そこで登場するのが、ピアニスト岬洋介。。。というわけ。
なんとなく想像できる流れではあるけれど、曲の背景やストーリーなどが面白くて、どんどん読み進めてしまう。
三崎洋介がコンクール中に迷う遥に向けて言った言葉が印象的だったので引用させていただきます。
「現代は不寛容の時代だ。誰もが自分以外の人間を許そうとしない。咎人には極刑を、穢れた物、御体満足ではない者は陰に隠れよ。周囲に染まらない異分子は抹殺せよ。今の日本はきっとそういう国なんだろう。いつ頃からか社会も個人も希望を失って皆が不安がっている。不幸が閉塞感を生み、その閉塞感が人を保身に走らせる。保身は卑屈さの元凶だ。卑屈さは人の内部を腐食させ、そのうち鬱屈した感情が自分と毛色の違う者や少数派に向けられる。彼らを攻撃し排斥しようとする。そうしているうちは自分の卑屈さを感じなくて済むからだ。立場の弱いものを虐めたり差別するのも多分にそういう理由だろう。不正を糾弾された人間に問答無用で罵声を浴びせる、頂上を極めた者の転落を悦ぶ‥‥全部、同じ構図だ。無抵抗な人間には際限なく悪意が降りかかる。でも、だからと言って言われるがままされるがままというのも癪な話だ。悪意とは戦うべきだし、理不尽は覆さなきゃいけない。悲しかったら人目を憚らず泣き叫んだほうがいいし、悔しかったら怒るべきだ。ただ、神様は一部の人間に粋な計らいをしてくれた。怒りを吐露する文書の代わりに音符を、非情を嘆く声の代わりにメロディーを与えてくれた。」
岬洋介という登場人物を通して、著者が言いたい事なのかなと思った。
どうしてこうも人の感情表現はねじ曲がってしまったのか。言葉で表現できなかったら、音楽でもいい。何らかの形で表現していいのだと。
「不寛容の時代」と言われて久しいけれど、新型コロナ感染拡大の報道を見ていてもそう思う。この先どうなることやら。。。
中山七里氏の「岬洋介シリーズ」はあとショパンとベートーベン。また音楽を聴きながら、読もうかな。♪
-
孤独の意味も、女であることの味わいも2020.10.04 Sunday
-
著者の三浦瑠麗氏、何かの番組で初めて見て「この綺麗な人、だれ?」と思った。肩書きは、「国際政治学者」と書いてあっって、ますます「どんな人?」と興味津々。私の中のおばさん根性である。
彼女の著書は専門分野の本ばかり。一冊手に取ったが、私にはちょっと難しく‥。
あれこれ物色していたら、彼女の自伝「孤独の意味も、女であることの味わいも」を見つけたので読んでみた。
彼女は強い人だ、と思った。中学の時に起こった出来事、それを「あの頃私はずっと古傷を抱えて生きていくのだろうと思っていた。でも、今こうして振り返って見ても、痛みはほぼ残っていない。人生は、こんな経験よりもはるかに豊かだったからだ。」と彼女は言っている。自分を悲劇のヒロインにすることの方が遥かに簡単なのかもしれにと思う。そういえばマドンナもナイフを突きつけられながらレイプされたことがあり、「だから何?」的なことを言っていた。
「♯ME TOO」とはまた違った考え方、受け止め方なのだと思う。
強い女性って、かっこいい。自分が弱虫だからこそ、憧れてしまう。
「そうやって人間はもがきながら歳をとっていく。杭いがたい結果を受け入れ、最後には流れに身を任せる。それが人生なのだ、と私は悟った。」と彼女は言う。確かにね。。。
でも、私はいろいろあっても彼女ほど深く考えちゃいないなぁーと思った。考えることさえ諦めちゃってる。まあ、公人でもないし、普通のおばちゃんだから、いっか。w
それと彼女のご主人もそうれはそれはたいした人なのだけれど、良い人に出会えたんだなーと思った。
結婚することで、多かれ少なかれ人生に変化が生じる。お互いを認め合える相手に出会えることって、幸せなことだと思う。それは、別に収入とか、地位とか、そういうことではなくて、単に人として認め合えることって大事なことだと思う。
お二人でNHKにも出ていたんですね。『性暴力を考える』
三浦氏の本職の政治関係の本や、ブログ「山猫日記」も読んでみよう。
-
おやすみラフマニノフ2020.10.04 Sunday
-
『ガインの傲慢』を読んだときに、同じ著者が作曲家をタイトルにした小説も書いてることを知り、『おやすみラフマニノフ』を読んでみた。
驚いた! 『ガインの傲慢』とは全然違うじゃん!!
音大の学園祭で毎年、学園長である世界的ピアニストがピアノコンチェルトを演奏する。しかもオケは学生から選ばれ、大学が所有するストラディバリウスなどの名器が使用される。
音大で所有している時価2億円のストラディバリウスのチェロが盗まれた。誰が?何の目的で???
クラッシック音楽や楽器に詳しい人であれば、後半に近づくにつれ犯人は「この人」と絞り込めていってしまうかもしれない。そこで、「君やろ!」と別の人のが犯人だと思われる。え?どっち???と思ってしまう。
登場人物のキャラもやや濃いめw。今ドラマや映画にするなら、中村倫也くんか育三郎さまあたりがでるんだろうな〜。
音楽や作曲家につての情報も満載で、『おやすみラフマニノフ』ではラフマニノフはもちろん、パガニーニやチャイコフスキーの知識も得られる。それぞれの曲にも込められた想いや背景もあり、個人的にはすごーく面白かった。ぜひぜひクラッシック音楽を聴きながら読んでくださいませ。
-
傘をもたない蟻たちは2020.09.23 Wednesday
-
ジャニーズのNEWSのシゲ・加藤シゲアキくんが小説を書いているのは有名なの??
とあるテレビ番組でそんな話をしていたので、どんなものかと期待もせずに「傘をもたない蟻たちは」を読んでみた。
(本のサイトもあります)
で、驚いた。
ほんとに空には申し訳ないが、全然期待してな買った。それが、治安と小説だった。しかも、面白かった。
さらには、人の心の底にあるものをきっちり表現していた。
特に、「Undress」は、外面と本心、本音と建前的な怖さが描かれている。
そして、「イガヌの雨」については、昨今のドラッグにも似ている話かなと思うし、「にべもなく、よるべくもなく」は同性愛、「インターセプト」はちょっと怖い女ごごろ。
短編ものなので、スラスラ進んであっという間に読んでしまった。
これなら彼は本職がコケても、生きていけるかな?なんて思ってしまった。ゴメンナサイ。
-
オンナの奥義2020.09.09 Wednesday
-
阿川佐和子氏と大石静氏の対談で構成されている「オンナの奥義」を読んでみました。
読んだきっかけは、、、忘れました。(汗
阿川佐和子さんって、テレビによく出ていたり、なんとなく好感度の高い人だなーと思っていたけれど、よく知らなかったんですよね。大石静さんの方も、プロフィールを読むと、話題になったドラマの脚本を手掛けていたりして。サブタイトルの「無敵のオバサンになるための33の扉」てのは、それなりのキャリアを積んでききたと言うことか。。。と読み始めた。
ところがである!初めから結婚の話、浮気だの更年期だの閉経だの、活字にしていいの??って思ってしまうような話題がたくさん。おかげで読みやすいったら。(笑
極々普通の一般人の自分と比べちゃいけないとは思うけど、共感しながら読んでしまいました。
最後の方では、ちょっと真面目なお仕事の話。
実はお二人とも若い頃に描いていたような職業についているわけではないらしい。「みんんみんな、イチローになれるわけじゃない」「何かのチャンピオンとかオリンピックの選手が「夢は必ず叶う」って当たり前のように言うけれど、気軽に言っちゃいけないと思う」などど話している。「あんたはすごい」「イチローみたいになれる」「世界で一つの花だから」と育てられ、全ての子供が可能性に満ちていると教えたり、出来ないことや嫌な事はやらなくてもいいと育ててしまう。それが人間的に弱い大人を作ってしまわないかと憂うている。
人の能力には違いがあって、その違いを知った上で、自分は何処を目指すか。それが大事じゃないかと。
つまりは、なりたいものになれなくても、他に得意なことを見つけて気持ちを切り替えて進む強さが必要ってことですよね。
また、最近「セクハラ」「パワハラ」とうるさいおかげで、若者が怒られる機会が減っているのではないか?とも話している。そんな社会の新人くんたちは、ますます弱くなり、教えられる機会・成長する機会を失っていませんか?と。そして、上司のおじさま方も委縮しちゃってるよね、と。
そんな社会状況の中でも、のびのびと仕事をし、才能を発揮できている若者もいるわけだけれど、、、。
なんだか現代に物足りなさを感じておられるようなお二人でした。
新型コロナ感染拡大真っ只中のこのご時世。半分冗談、半分本気で、「どこにも遊びに行けないし、飲み会もできなくて、仕事以外に楽しみないじゃん!」とぼやいてしまった私?? 無敵のオバサン目指して頑張ろう!と元気をもらえた本でありました。
-
カインの傲慢2020.09.05 Saturday
-
中山七里氏の本を初めて読んだ。「カインの傲慢」は、臓器売買の話。
帯に「最大の犯人は《貧困》だ」とあった。
貧困。。。一言で言うけれど、親の金銭感覚が子供にも影響していく。金銭感覚が麻痺して若くして大きな借金を作る。無知故に付け込まれ、狙われ、自分の臓器を金に変えようとしてしまう。肝臓を一部切り取るくらい大したことない、二つある腎臓の一つなくなるくらい大丈夫。。。と思ってしまう。
この小説に出てくる半グレの少年は、「成績は悪くない」と言うが、成績が悪くなかったとしても、考える力、想像力に欠けているのだろう。それは結局、貧困のため、親が悪い、社会が悪い、、、というのが作者が持っていきたいところだろうか。
中国の臓器売買の事情なんかも出てくるが、臓器移植は日本ではなかなか前進しない。宗教観、命や魂に対する考え方のせいだと思う。
中山七里氏の本は初めて読んだのだけど、「カインの傲慢」は「刑事犬養隼人シリーズ」の最新作らしい。
他に、タイトルに音楽家の名前があるものもあって、興味深い。
「このミステリーがすごい!」大賞を受賞したり、最終候補に残ったりしている作品があり、映画にもなっていた。知らなかったぁ〜。他の作品も読んでみようと思います。
-
黄金の60代2020.08.16 Sunday
-
郷ひろみの「黄金の60代」買ってしまった、読んでしまった。
しかも、図書館から郷ひろみの書いた本を何冊か借りて、古い順に読んでからの「黄金の60代」。
「ダディ」は、当時読んで、元妻との本を通してのバトル。本を売るために離婚したんじゃないかと思ってしまった。
意外に郷ひろみは本を書いていて、約10年ごとに出版している。
「郷ひろみの紐育日記」は、1989年。結婚後渡米したニューヨークでの生活を書いたもの。「ダディ」は、1998年だけど、「若気の至り」は、2000年。「GOLDFINGER '99」のヒット後、二度目の結婚、渡米の頃に書いたもの。渋谷でのゲリラライブはお騒がせ。幼稚園児までが「アチチ、アチ♪」ってやってました。結婚→NY行きはセットか??と思ったりして。
「NEXT-明日の僕がいちばん」が、2009年。うわぁ〜、この人は寝ても覚めても「郷ひろみ」なんだなーと思った。
もうね、ここまでくると郷ひろみ研究家かと‥(苦笑)
実は昔々その昔、おそらく小学校高学年の頃、初めて行ったコンサートは郷ひろみのコンサートだった。
ファンクラブに入っていた(であろう)従姉妹が、2回分のコンサートのチケットをゲットして棚からぼた餅で出かけたのだった。
人口3万の地方都市の文化会館にも郷ひろみはやってきた。ちょうど、「ハリウッドスキャンダル」を歌っていた頃だと思う。バラの刺繍の入った白いつなぎの衣装を見て、その従姉妹は「田舎臭い衣装。馬鹿にしてる。」と言っていたのを覚えている。
実は、去年と3年前にもコンサートに行っている。60代になってからの彼は、ギラギラしていなくて、カッコおもしろくて、手を振る姿は10代の少年のような人だった。見に来ている客の方も、3階の最後尾まで歌って踊って、「キャーキャー」言って、とっても楽しいコンサートだった。ヒット曲も多く、みんなで歌って踊れる曲の多いこと!
一度行ったら、また来ようと思ってしまう。彼が「郷ひろみ」を続けていることの意味が、そのコンサートで理解できたような気がする。
人生100年時代になり、若くない時代を生きる方が長い。と、郷ひろみは言っている。確かに。。。
年取ったなぁ〜と凹んでいるとしたら、ちょいと郷さんに励ましてもらうといいかもしれない。
自分がどういきたいか、どうなりたいか、考えるためにも読んでよかったかな。
私は、最近になって自分がミーハーであることに気が付いたんだけど、マドンナも好きで、TwitterやInstagramもフォローしている。実は、デビューからのCDはもちろんコンサートのDVDなんかも持っていたりする。数年前には日本でのコンサートに行けて、「夢が叶った」とまで思ってしまった。
彼女は、デビューした当時から「一発屋では終わらない」宣言をしていた。母親が乳がんで若くして子供を残して亡くなってしまったり、マリリンモンローと比較されたりしていたので、「私はおばあちゃんになるまで長生きするのよ」公言していた。
今では「Queen of Pop」=マドンナというのは、誰も疑わないだろうと思う。
要は何が言いたいかというと、郷ひろみにしてもマドンナにしても、第一線で「郷ひろみ」「マドンナ」でいるために努力してきたんだろうなということ。そういう私ができない努力ができる人という意味で、尊敬してしまうってこと。何十年も継続するって大変なんだなーと思うんですよ。
< 前のページ | 全 [42] ページ中 [1] ページを表示しています。 | 次のページ > |